Colloquium for Young researchers in History and Philosophy of Science

科学史科学哲学若手研究会(仮称)

次回研究交流会

日程:2011年9月8日,15時より.
場所:東京大学駒場キャンパス.

研究紹介:

*本研究発表は両名の博士論文中間報告も兼ねております.

15:00-16:30 有賀暢迪(電気通信大学)「活力論争を解消する18世紀の試み」

活力論争とは,力の尺度をめぐって主に18世紀前半に行われた一連の論争を言う.伝統的に,この論争はダランベールによって結着がつけられたとされていたが,ハンキンスの古典的な論文(1965)以降はむしろ,19世紀になるまで最終的な解決は得られなかったという見方が支持を得ているように思われる.しかしながら,たとえハンキンスが想定するような現代的解決が18世紀には達成されなかったとしても,世紀の中頃,1740年代には,この論争において抜本的に新しい主張がなされており,それは論争の「解消」と呼べる類のものであった.この報告では,活力論争とそこで問題となっていた力概念(これを《力》と表記する)について簡単に説明したあと,論争を解消しようとした三人――ダランベール、モーペルテュイ,オイラー――の主張を比較しつつ検討する。彼らは、議論の出発点と目指したものとにおいて大きな相違を見せているにもかかわらず,《力》について語ることを拒否したという点では一致していた.このことを明らかにすることで活力論争に関するハンキンス以来の歴史叙述に修正を加えることが、この報告の目標である.

16:45-18:15 中尾央(名古屋大学)「何が文化の多様性を可能にしたのか」

ヒト以外の動物でも文化を持ちうることは概ね同意を得つつあるが,一見すると両者の文化は,その多様性という点で大きく異なっているように見える.たとえば,生物多様性が生み出される過程では,(1)変異を生み出すことと(2)その変異を次世代へ正確に受け継ぐことが必要になってくる.(2)に話を限定するならば,ヒトと動物の文化を比較した場合,前者における正確な伝達を可能にしている要因の一つとして,模倣能力の差異などが幾度も指摘されてきている.我々は他の動物に比べて模倣能力が優れており,それが文化の正確な伝達を可能にしているというわけだ.
しかし,模倣能力だけが正確な伝達を可能にしている要因なのだろうか.たとえば,長らくチンパンジーの文化研究に携わってきたBoesch(2008, p. 40)はそれ以外の要因として罰(punishment)と教育(teaching)を指摘しており,同様の主張を行う研究者は少なくない.本発表ではこの罰と教育が文化の伝達においてどのような役割を果たしてきているのかを検討し,ヒト文化の独自性の一つである文化の「多様性」について考察したい.具体的には,(1)動植物,さらにはヒト社会における罰の具体例を検討することにより,罰だけでは文化の伝達の正確さにそれほど大きな違いが出ない可能性を指摘する.(2)CsibraやGergelyがヒトに特有なものであると論じているnatural pedagogy,動物社会における教育行動,さらにはさまざまな文化における教育行動を比較検討し,ヒトの教育行動の独自性を明らかにするとともに,CsibraとGergelyの議論を批判検討する.

*参加を希望される方は中尾(hisashinakao@gmail.com)もしくは有賀(ariga.nobumichi@gmail.com)にご連絡ください.

 

 

Colloquium for Young researchers in History and Philosophy of Science

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